【アナライズ】春の祭典-第二部 [79-1~2]
ストラヴィンスキー作曲「春の祭典」第二部「生贄の儀式」より「序奏」冒頭のワンフレーズ。
音の重ね方や音量指定など、既存曲のワンフレーズがどうなっているか備忘録的に記事にします。
楽器編成(ここで扱う箇所で登場するもののみ)
- フルート:3
- オーボエ:2
- E♭管クラリネット:1
- B♭管クラリネット:2
- バスクラリネット:2
- F管ホルン:6
- ワーグナー・チューバ:2
- C管トランペット:3
- 弦五部(ヴィオラはお休み)
全体
「こ、こここ、これは一体どういうことなのでしょう…。」
1913年のパリの人達もそう思ったはずです。
木管楽器の音の重ね方
画像はクリックでフルサイズ画像にジャンプします。
木管全体
「ハルサイ」レベルまで来ると、譜読み合ってるのかどうかも分からなくなってきますね…(笑)
ただ移調楽器も何度も読み間違いを確認したので正しいはず。
- E♭管クラリネットを短三度(+3)上に移調
- B♭管クラリネットを全音(-2)下に移調
- バスクラリネットを全音(-2)下に移調
以下、楽器別のピアノロール。
フルート:3
E♭m → D♭m を繰り返して、最後は後ほど出てくるトランペットの和音をなぞる。
フルートだけだとちょっぴり不思議な雰囲気がらもそんなに違和感はない。
オーボエ:2
フルートが奏でる和音の構成音に無いAの音をロングトーンで鳴らす。
これだけで一気に不気味な響きになった。
E♭管クラリネット:1
フルートの和音の構成音をなぞるように吹き、最後だけフルートが吹くEdim7にG#の音をぶつける。
※画像内でリージョン名にBbとありますが、リージョン名が間違いです
B♭管クラリネット:2
これも完全にフルートの和音 E♭m → D♭m の繰り返しの構成音と同じ。
ただ、クラリネットはE♭mを上下を広げて鳴らし、D♭mはフルートとユニゾンして上下をギュッと狭めている。
※画像内でリージョン名にEbとありますが、リージョン名が間違いです
バスクラリネット:2
EとBの5度でハモる。
E♭管クラリネットのG#と合わせてEメジャーコードになる。
フルートのEdim7とぶつかってスゴイことになってる。(スゴイことになってる)
金管楽器の音の重ね方
金管全体
ホルンとトランペット、ホルン奏者の7,8番はワーグナー・チューバ
ホルンがF管のはずですが、譜面を読みながら打ち込んでみるとなんか違う…調べてみると…
な、なるほど…「ヘ音記号で書かれるときには、ト音記号で書くよりオクターブ下げて書く場合がある。」https://t.co/oQ5q78Otu3
— KK (@_kk1_) January 15, 2017
最低音はおそらくワーグナー・チューバが担当。
ヘ音記号で書かれている場合、実音は記譜より完全四度上の音を吹く(という書き方もある)。
なので多分それでしょう。
F管ホルン:6
ワーグナー・チューバ:2
ホルン+ワーグナー・チューバでDmをオープンでロングトーンさせる。
最後はクラリネットとほぼ同じE7。
この進行なんか不思議な感じがしますね。
C管トランペット:3
ミュートしてます。
フルートと同じ E♭m → D♭m を繰り返した後、A#m → Em という風変わりな進行。
弦楽器の音の重ね方
弦全体
AとFの増五度音程ですーっと入り、突然 E, B, G#, D, A#, F, C# からなる和音が鳴る。
E7とA#mのミックスでしょうか…?
さっぱり良くわかりませんが、個人的には好きな響きです。真似したい。
まとめ
- E♭m → D♭m が繰り返す
- Dmが鳴り続ける、すごい不協和音
- 最後はE7とA#mがミックスした和音、めちゃめちゃ不協和音
ダークな映画音楽っぽい雰囲気を演出したいときに参考になりそうです。
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