インタラクティブなゲーム音楽を試しに作ってみる

インタラクティブミュージックを作ってみたいけど、そのための高度なゲームプログラミングは出来ない…。

ということで、あくまで「こういう想定のゲーム」というイメージ音楽を作ってみました。

ゲームのイメージ

・ジャンルは謎解きゲーム

・基本的には、一本道のストーリー上を操作キャラを動かして進めていく

・イベントポイントやアイテム入手など、ボタンを押して調べる要素がある

・明るい雰囲気とダークな雰囲気を出したい

 

どういうシーンの音楽か

平穏なマップからスタートし、操作キャラを目的地のイベントポイントまで移動させるシーンとします。

目的地に辿り着くまでの間には風景の変化があり、それに合わせて音楽が変化していくというシンプルなものです。

 

有名所だと、任天堂のゲーム「ゼルダの伝説シリーズ」では、フィールド移動中に敵と接近したときにBGMがシームレスに変化したり、昼のマップと夜のマップでゆっくりと音楽が変化していく手法などを使っていたりしますね。

 

今回は、マップを進めていくと、明るく平穏な空間から段々と不穏な光景に変化していくという設定で考えたいと思います。

 

どんな音楽にしたか

まず、平穏な明るい空間で流れている曲として、ピアノのみパートを8小節作りました。

ヴォイシングを変えながらサブドミナントとトニックの和音を交互に繰り返すだけのフレーズです。

ピアノだけのレイヤー。シンプル。

 

さて、ここから段々ダークにしていきます。

プログラム上の処理としては、明るい空間から暗い空間までの間に、見えないチェックポイントのようなモノを設定して、操作キャラが通過する際にアレンジを変化させてゆく、というものをイメージしました。

プレイヤーは見えないチェックポイントを意識せずに遊び、気づいたらなんかダークな雰囲気になっていた!というのが理想ですね。

 

▼1つ目のアレンジ変化

マップを進めていくにつれて段々不穏な雰囲気を足していきたいので、ストリングスの音色で薄っすらと足すことにしました。

先ほどのピアノパートは、CメジャーキーFC というコード進行なので、全て白鍵だけで鳴っている音ですね。そこにいきなり、スケールにない黒鍵の音やアヴォイドノートをぶつけると急な不快感になってしまうので、最初の変化では低音のストリングスで E の音のみを入れたいと思います。(便宜上、弦楽器パートをストリングスの表記でまとめます)

単体だけで鳴らすとこんな音。(フェードインして入ってくるようにする)

 

以下がピアノと一緒に鳴らしたもの。

スケール上の音だけど、F のときは7th、Cのときは3rdとして低音で鳴っていので不安定な感じがすると思います。

ピアノだけだったレイヤーにストリングスの音が入ってくる。

このように、どんどんストリングスの音色を足して不穏な空気にしていきます。

白玉で鳴らすだけでリズムを刻んでいるわけではないので、操作キャラがどのタイミングで見えないチェックポイントを通過してもシームレスに音楽が変化できる、ということを考えてみました。

 

▼2つ目のアレンジ変化

2つ目の変化もストリングスで、 G を一音足します。

これもスケール上の音なので、急に不気味になる感じではないですね。

どんどん進んで行きましょう。

上の画像では「Piano」「Strings E」「Strings G」の3トラックですが、音が多くなってきた場合は、まとめた方が良いかもしれません。つまり「Strings G」が入るタイミングで上の2トラックは「Piano + Strings E」というミックスされた音が鳴るトラックにしても良いわけですね。音が加わる度にそれを繰り返せば、ずっと最大2トラックの制御で済むようになると思います。
(その分データ数も膨らみますが…)

 

▼3つ目のアレンジ変化

ストリングスで、 B を一音足します。

ん?「」なのでスケール上の音ですが、このヴォイシングだからか不安定さが目立ち、ちょっと不穏な感じも出ていませんか…?

実際作ったときはコードネームとか理論とかほぼ考えず、フィーリングだったりします…。

 

▼4つ目のアレンジ変化

ストリングスで、 C#D# の音をバチーンと足します。

先ほど結構不安定度が高まってきていたところに、とうとう初黒鍵です。

完全に調子外れなハーモニーになりました

 

▼5つ目のアレンジ変化

もうここまで来ればどんな音をぶつけても良いと思いますね…。

そんなわけで今度はピアノの音色でこんな音を足してみます…(ざわざわ)

ん?これだけ鳴らすと意外と良さげ…?

と思いますが、最終形態なので不協和音マシマシにします。

今まで使ったハーモニーの構成音から何億年も試行錯誤を重ね…、
我々はとうとう針の穴に糸を通すような不気味ハーモニーを考えたのです…。

 

(ホントはフィーリングで重ねました。)

全部重なるとこんな感じです。ちょっと音量注意。

 

ここは一連のイベントマップの最後の部分(目的地)というイメージです。

プレイヤーにとっても不気味な音楽が長く鳴っていて欲しくないので、プレイヤーはさっさとイベントアイテムを調べてゲームを進めようとします。

あまり細かく探索したり長居することのない一本道ゲー(という想定)だからできる演出ですね。

 

▼イベントアイテムを調べたときの音楽の変化

プレイヤーが目的地にあるイベントアイテムを調べると、いきなりこんな音楽が流れます。

「謎のオルゴールが置いてある。これも何かの手がかりだろうか…?」

いきなりオルゴールの音楽に変わりますが、これは以下のブログにあるプレイヤーのボタン入力で音楽が変わるインタラクティブ感を簡単に作ってみました。…が、さすがにゼルダには遠く及ばずちょっと無理やりですね。

「プレイヤーが打ち返す瞬間によって音楽的ではないタイミングでも即座に切り替える」という実装。インタラクティブミュージックで重要なのは、「音楽的かどうか」よりも、「音楽がなぜ変化したか、プレイヤーが理解できるかどうか」という好例。プレイヤーがすぐにはわからないような、敵の状態変化などは音楽的に繋げて自然に表現すべきだが、ファントムガノン戦のような、「今打ち返した」とプレイヤーが明確にわかっている場合は、曲をガンガン展開させて良い。

 

▼最後に通して聴いてみましょう

皆さん、イマジネーションですよ…。