【アナライズ】帝国のマーチ[76~77]

2017年12月17日

 

 

去年の12月、ハル・レナード社から出版されているスター・ウォーズEP4のオーケストラスコアを買いました。

映画音楽ってメジャーどころじゃない曲やパートがカッコよかったりしませんか?

このスコアは有名曲が主に収録されているんですが、有名な曲の中でも部分的に「おっ」と来るパートもあると思うんですよね。

 

というわけで、今回メモるフレーズは、ジョン・ウィリアムズ作曲映画スター・ウォーズより「帝国のマーチ」終盤の駆け上がりフレーズ(全然有名じゃない部分)です。

 

譜面の内容は掲載しませんが、ピアノロールでの音の重ね方や音量指定など、2小節程度をピックアップして備忘録的に書きます。

 

 

楽器編成(ここで扱う箇所で登場するもののみ)

  • フルート:2
  • ピッコロ:1
  • オーボエ:2
  • B♭管クラリネット:2
  • ファゴット:2
  • F管ホルン:4
  • B♭管トランペット:2
  • トロンボーン:2
  • バストロンボーン:1
  • チューバ:1
  • ティンパニ:1
  • パーカッション:トライアングル、シンバル、スネアドラム
  • ハープ:1
  • 弦五部

 

 

全体

 

4/4拍子

効果狙いの駆け上がりフレーズですね。

全体的には、

  • キーは Gminor
  • トニックをバーンっとオクターブユニゾンさせる
  • Cナチュラル・マイナー・スケールで駆け上がり
  • D が入ってadd9っぽくなってる気がする

といったところでしょうか。
Gm を VIm だとすると IImadd9 でガヤガヤさせている感じ…(?)

ともかく G, D, の音が強く聴こえる。

 

オリジナルだとこの動画の2:48〜の部分です。

 

 

木管楽器の音の重ね方

画像はクリックでフルサイズ画像にジャンプします。

 

木管全体

 

木管の駆け上がりはどの楽器も2小節目から入る。

 

以下、楽器別のピアノロール。

 

ピッコロ:1

最初の連符がフルートとオクターブユニゾン。

Cナチュラル・マイナー・スケールで駆け上がり。

 

フルート:2

画像のスクロールがズレていて見づらいですが、最初以外はピッコロとフルート1st&2ndでユニゾンです。

 

オーボエ:2

出だしのみオクターブ重ね。

トップ音として聞かせる意図はないからか、駆け上がりは音域の都合で部分的に下げている。
他楽器と混ぜる要員。

 

B♭管クラリネット:2

出だし→駆け上がりはナシ→駆け上がり後の頭オクターブユニゾン

略してオクユニと呼ぶことにします。

(某洋服店ではありません。)

 

ファゴット:2

出だし一拍目がGでオクユニ、二拍目はこの後出てくるトロンボーンのアタック補強の役目。

駆け上がり後の頭拍のGはユニゾンしてベース補強。

 

 

金管楽器の音の重ね方

金管全体

 

出だしでキメたらすぐに CD の不協和音程で緊張効果を狙ったロングトーン。

木管、弦、の駆け上がりが終わると再びGオクユニのアタック。

 

F管ホルン:4

キメは上3:下1、の割り振り。

ロングトーンは2本で鳴らしてデクレッシェンド。

最後に2:2で分けてオクユニ。

 

B♭管トランペット:2

クラリネットと全く同じ。

 

トロンボーン:2

ホルンが減衰した後も、駆け上がりが終わるまで吹き続ける。

デクレッシェンドぱ〜っクレッシェンド!

最後のGはベース的役目。

 

バストロンボーン:1

ロングトーンの部分は、下記のチューバと合わせてトロンボーンのオク下重ね

HollywoodBrassにバストロンボーンが無いので、今回は仕方なくチンバッソになっています。

 

チューバ:1

バストロンボーンと合わせてトロンボーンのオク下重ね

最後のGはベース補強。(多分この曲の最低音)

 

 

弦楽器の音の重ね方

弦全体

 

駆け上がり前半は音型が波型で、後半はグリッサンドに近いかたちです。

2小節目の最初以外は、基本的にオクターブで厚みを出して重ねるようになっています。

 

第一ヴァイオリン

一番目立つ、というかトップで鳴っているパートです。

 

第二ヴァイオリン

2小節目の頭まで1stVn(第一ヴァイオリン)とユニゾンし、以降は1stVnのオク下を弾きます。

 

ヴィオラ

1小節目までVn(ヴァイオリン)のオク下を弾き、2小節目は2ndVnとユニゾン

(画像のリージョン名がVn IIなのはミスです)

 

チェロ

駆け上がり1小節目はヴィオラとユニゾン

2小節目は前半がスッとお休み…。後半からヴィオラのオク下でクレッシェンド。

このスッと一瞬抜ける感じもなんか効果的な音の動きになっている気がします。

(気がするのです)

 

コントラバス

出だしのキメと最後のみ。

 

ハープ

2小節目後半からグリッサンドします。

Gmに向かって到達するためか、ハープのみGナチュラル・マイナー・スケールです。

 

 

打楽器

ティンパニ

コントラバスと同じですね。

 

他にシンバルが出だしでパシャッと鳴らし、スネアとトライアングルもありますが、2小節目の後半以降からロールでクレッシェンドするだけなので割愛します。

 

 

まとめ

  • 和声進行は VIm → IImadd9 → VIm の流れ
  • 駆け上がるのは弦と木管
  • 弦と木管は音域によってズラして混ぜたりする
  • 音型が途中で変わる
  • 金管は不協和音程で緊張を煽る
  • ハープのスケールは駆け上がりの終着点に合わせる

 

音響効果的なパートを作りたいときは参考になるかもしれません。